キャロル・アン・ブーンとテッド・バンディ。30人を殺した殺人鬼 [国際]
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法廷に弁護士はいなかった。代わりにいたのは、法律書を抱えた長身でハンサムな男。
判事の追求に冷静に異議を申し立てていた男は、誰の目から見ても好感を持てる、有能な男だった。
しかし、徐々に旗色が悪くなり始めると、彼は突然陪審員席に向かって喚き散らしはじめた。
「あんたたちは俺を殺したいんだ!そうだろう!」
彼は弁護人であり、同時に被告でもあった。
テッド・バンディ。全米で女性を少なくとも30人を殺害し、「アメリカでもっとも有名な殺人鬼」となった男。
テッド・バンディことセオドア・ロバート・バンディは私生児として生まれた。
頭の切れる彼は小学生の頃から学業面では優秀な生徒だった。
しかし、その頃から性格は凶暴であり、教師に何度も注意されたという。
バンディはコンプレックスを克服しようとするかのように、自ら上品でスマートで知的な虚像を演じた。
彼を突き動かす原動力の一つが私生児としての出自にあるのは間違いない。
やがて奨学金を得て、ワシントン大学へ進学した彼は一人の女性と出会う。
スティファニー・ブルックス。
後にバンディの弟は語る。
「あの女にさえ会わなければ、兄は殺人鬼にはならなかったかもしれない」スポンサードリンク
ステファニーは背が高く、長い黒髪の美人だった。しかもサンフランシスコの裕福な家の生まれと、家柄も申し分ない。
バンディは彼女に夢中になり、早々に婚約を交わした。
しかし、バンディの本質はやはり貧しく粗暴で我儘な私生児であった。
彼の子供っぽさに愛想を尽かしたステファニーはそれからすぐに婚約を破棄する。
失意に打ちひしがれたバンディは学業も手につかず、やがて退学を余儀なくされる。
殺人鬼としての彼はこの時に完成された。
「いつかあの女を跪かせてやる」
それがこの後の彼の原動力となる。
それ以来、彼は虚像を演じることに磨きをかけ始める。
社交的になり、知的な会話を学び、マナーを身につけた。
やがて彼はワシントン州の共和党員となる。
ハンサムで、頭の切れる彼を、上院議員すらも評価した。
「いずれ州知事になるだろう」
とすら言われるようになる。
そうして自らの虚像を完成させた彼は、再びあのステファニー・ブルックスに接近する。
社会的地位も上がり、見違えるようになった彼との婚約をステファニーはすぐに了承する。
しかし、バンディはそれだけで彼女に見切りをつけてしまう。
彼にとってステファニーとの婚約は、愛情のためではなく、ただ自身の受けた屈辱を見返すための手段に過ぎな
かったのだ。
バンディは彼女の前から姿を消し、殺人に手を染め始める。
彼が狙う犠牲者はみな髪が長かった。
ここにも最初のステファニーの婚約破棄による屈辱のコンプレックスが現れている。
彼は繰り返し髪の長い女性を「跪かせ」、「屈服させた」。
彼の歪んだ欲望はとどまることを知らなかった。
全米で正式に確認された被害者は三十人。だが、巧妙な彼の証拠隠滅工作によっていまだ発覚していない被
害者も含めれば、犠牲者は百人以上に登るといわれる。
彼はアメリカ中を車で走り回り、女性を襲い続けた。
州境を超え続けての犯罪によって、州警察の足並みが揃わなかったことが、事件の全貌をつかむことを遅らせた原因の一端となったようだ。
やがて逮捕された彼は、一躍マスコミの寵児となる。
「アメリカ史上最悪の連続殺人鬼」、それが共和党員として州知事をうかがうところまで出世した、知的でハンサムな男となれば、大衆の注目は一挙に彼に集まったのは自然なことだった。
彼は法廷で自らを弁護人として指名するなど、派手なパフォーマンスで注目を集めた。
頭のいい彼はそうしたパフォーマンスによって大衆の同情を集め、無罪を勝ち取ることを目論んでいたのだろう。
バンディがマスコミに提供した話題の一つに獄中結婚がある。
伴侶の名前は、メアリー・アン・ブーン。
彼が社会人として、また殺人鬼として現役だった時に同僚だった女性である。
テッド・バンディとメアリーは二人がオリンピアの州危機管理庁に勤務していた頃に親密になっていた。
彼女は弁護側証人として法廷にも立った。
法廷でメアリーはこう述べた。
「彼は暖かく、親切で、忍耐強い人です」
これもまた彼の作り上げた虚像なのだろうか? それとも、史上最悪の殺人鬼がたった一つだけ見つけた真実の愛だったのだろうか?
なお、彼は公判中に隙を突いて脱獄を試み、脱走中に女子寮へ侵入し、更なる犠牲者を出している。
再び逮捕された彼は、今までのような自由は許されず、厳重な監視の下に置かれることになる。
そして万策尽きたバンディは、死刑を宣告され、電気椅子で処刑された。
メアリーはバンディとの間に生まれた一人の娘を連れ、今もアメリカのどこかで暮らしているらしい。
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法廷に弁護士はいなかった。代わりにいたのは、法律書を抱えた長身でハンサムな男。
判事の追求に冷静に異議を申し立てていた男は、誰の目から見ても好感を持てる、有能な男だった。
しかし、徐々に旗色が悪くなり始めると、彼は突然陪審員席に向かって喚き散らしはじめた。
「あんたたちは俺を殺したいんだ!そうだろう!」
彼は弁護人であり、同時に被告でもあった。
テッド・バンディ。全米で女性を少なくとも30人を殺害し、「アメリカでもっとも有名な殺人鬼」となった男。
テッド・バンディの出自
テッド・バンディことセオドア・ロバート・バンディは私生児として生まれた。
頭の切れる彼は小学生の頃から学業面では優秀な生徒だった。
しかし、その頃から性格は凶暴であり、教師に何度も注意されたという。
バンディはコンプレックスを克服しようとするかのように、自ら上品でスマートで知的な虚像を演じた。
彼を突き動かす原動力の一つが私生児としての出自にあるのは間違いない。
やがて奨学金を得て、ワシントン大学へ進学した彼は一人の女性と出会う。
スティファニー・ブルックス。
後にバンディの弟は語る。
「あの女にさえ会わなければ、兄は殺人鬼にはならなかったかもしれない」スポンサードリンク
髪の長い女性へのコンプレックス
ステファニーは背が高く、長い黒髪の美人だった。しかもサンフランシスコの裕福な家の生まれと、家柄も申し分ない。
バンディは彼女に夢中になり、早々に婚約を交わした。
しかし、バンディの本質はやはり貧しく粗暴で我儘な私生児であった。
彼の子供っぽさに愛想を尽かしたステファニーはそれからすぐに婚約を破棄する。
失意に打ちひしがれたバンディは学業も手につかず、やがて退学を余儀なくされる。
殺人鬼としての彼はこの時に完成された。
「いつかあの女を跪かせてやる」
それがこの後の彼の原動力となる。
それ以来、彼は虚像を演じることに磨きをかけ始める。
社交的になり、知的な会話を学び、マナーを身につけた。
やがて彼はワシントン州の共和党員となる。
ハンサムで、頭の切れる彼を、上院議員すらも評価した。
「いずれ州知事になるだろう」
とすら言われるようになる。
そうして自らの虚像を完成させた彼は、再びあのステファニー・ブルックスに接近する。
社会的地位も上がり、見違えるようになった彼との婚約をステファニーはすぐに了承する。
しかし、バンディはそれだけで彼女に見切りをつけてしまう。
彼にとってステファニーとの婚約は、愛情のためではなく、ただ自身の受けた屈辱を見返すための手段に過ぎな
かったのだ。
バンディは彼女の前から姿を消し、殺人に手を染め始める。
繰り返される犯罪
彼が狙う犠牲者はみな髪が長かった。
ここにも最初のステファニーの婚約破棄による屈辱のコンプレックスが現れている。
彼は繰り返し髪の長い女性を「跪かせ」、「屈服させた」。
彼の歪んだ欲望はとどまることを知らなかった。
全米で正式に確認された被害者は三十人。だが、巧妙な彼の証拠隠滅工作によっていまだ発覚していない被
害者も含めれば、犠牲者は百人以上に登るといわれる。
彼はアメリカ中を車で走り回り、女性を襲い続けた。
州境を超え続けての犯罪によって、州警察の足並みが揃わなかったことが、事件の全貌をつかむことを遅らせた原因の一端となったようだ。
やがて逮捕された彼は、一躍マスコミの寵児となる。
「アメリカ史上最悪の連続殺人鬼」、それが共和党員として州知事をうかがうところまで出世した、知的でハンサムな男となれば、大衆の注目は一挙に彼に集まったのは自然なことだった。
法廷でのパフォーマンスと獄中結婚
彼は法廷で自らを弁護人として指名するなど、派手なパフォーマンスで注目を集めた。
頭のいい彼はそうしたパフォーマンスによって大衆の同情を集め、無罪を勝ち取ることを目論んでいたのだろう。
バンディがマスコミに提供した話題の一つに獄中結婚がある。
伴侶の名前は、メアリー・アン・ブーン。
彼が社会人として、また殺人鬼として現役だった時に同僚だった女性である。
テッド・バンディとメアリーは二人がオリンピアの州危機管理庁に勤務していた頃に親密になっていた。
彼女は弁護側証人として法廷にも立った。
法廷でメアリーはこう述べた。
「彼は暖かく、親切で、忍耐強い人です」
これもまた彼の作り上げた虚像なのだろうか? それとも、史上最悪の殺人鬼がたった一つだけ見つけた真実の愛だったのだろうか?
なお、彼は公判中に隙を突いて脱獄を試み、脱走中に女子寮へ侵入し、更なる犠牲者を出している。
再び逮捕された彼は、今までのような自由は許されず、厳重な監視の下に置かれることになる。
そして万策尽きたバンディは、死刑を宣告され、電気椅子で処刑された。
メアリーはバンディとの間に生まれた一人の娘を連れ、今もアメリカのどこかで暮らしているらしい。
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2014-10-08 14:58
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